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ワカゾウ代表取締役による活動報告


by shota-s

無知の知

  ソークラテースさんのイメージと言えば、寸胴で日に焼け、コミカルながらも迫力あるエネルギッシュな「あー言えばこー言う」親父、日本人が扮するなら俳優の西田敏行さんであろうと勝手に思い、彼に「このバカ」と言われながら、アテネの街を議論しながら練り歩く妄想をよくしている。とても気持ちがいい。

  のっけからイッてしまっているが、私は気がつくと、ともかくも歴史的偉人や過去の無名の方々と会話する妄想癖がある。不遜覚悟で、社会全体への意識を強くもった偉人たちと共通のプラットフォームにいるんだというよがりが気持ちいいのである。

  電車でがたんごとん揺られているとそのまま、対話がスタートするもんなのである。ちなみに疲れがピークになると対話はひっこみ、大抵は「だんご三兄弟」とか「おしりかじり虫」やら「さかなさかなさかなー♪」なんて歌として存在する中で最も無意味な曲が頭を駆け巡る。過去、無意識に声を出して歌って危ない人と思われたことも数度ある。我ながら書いていてヒーテしまうが事実だからしょうがない。
 ソークラテースの産婆教育法は実に優れていると思う。無知の自覚というものを、価値としてやたら高いものとして扱っているセンスは本当にステキだ。

 もういいおっさんの年齢になった私であるが、この年になっても、いまだ私の周りには罵詈雑言、もとい叱咤激励くださる諸先輩方が多くいる。アチラコチラで「ばか」「ぶた」「しめころすぞ」「のろいころすぞ」といった人格全否定のアクセント付きで頭を使わず、さぼる暇を与えないような調教をありがたいことにしてくださるのである。これは本当にありがたいことである。

  先週の日曜日、仕事中、そんな師匠の一人、シャア大佐と普段はお呼びし、心からお慕い申し上げておる方に、叱咤激励を受け、目に涙をためているさなか、ふと「でも章太郎は無知の知を知る男だからな」と言ってくださり一気に昇天した。もともとマゾッ気が強いと自覚している自分は、さんざなぶられた挙句の「無知の知」。うれちい。

  確かに頭の良い方にこれでもかと出会い、これでもかと才能を見せつけられてきたので自己評価できるポイントがあまりにも乏しかった。んが逆転の発想たる褒め方(実は皮肉だったような気がいましてきた)をしていただき、「自己へのゆるぎない疑い」を体現していることはしていると、薄々いやらしくも自負していたポイントをついて下さり、すっかり自己評価が上がったのである。

  しばらく一週間は過剰に「自分は無知の知を知る男だ、どーだまいったか」という表情をして電車に揺られるであろうが、すでにバカにつける薬はないなとあきれられていることもウスウス感じるのであった。なんだこれ。
by shota-s | 2012-09-12 13:53